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    ヘカテーの弓~ジョン・マディソンの悲願~Ⅴ

    ―やがて月は満ちる。

    あかあかと、時に青々と輝くその天球は、

    いまや、この地球になくてはならない、「偉大なる光」を与える唯一の存在である。

    のちに≪少年≫は、彼女に出逢う。

    その少女は大変麗しく、太陽のようにさんさんと輝く蜂蜜色の髪と、月のような魅惑的な白銀の瞳、

    そして神話の女神のように神々しい衣をまとっていたという。

    彼女の名は、ヘカテー。

    宵闇の女神の名をもつ、太陽の射手。

    しかし、なぜ、本来ただの少女である彼女にそれだけの力が宿ってしまったのか?

    それは今後も語られることのない最大の謎であり、恐らく人類史上最大の過ちの結末である。


    太陽はもう存在しない。

    あの巨大な天体は、もはや過去の遺物である。

    しかし、考えてもみてほしい。

    あのまま時が進めば、やがて人類の愚かな所業により、フォトン・ベルトを通過した容赦ない日光が降り注ぎ、

    我らが人類および、たくさんの生き物が滅びていただろう。

    彼女はその太陽を撃ち落とすことにより、その脅威から地球を救った。

    そしてなにものかが、その代わりに、月に焔をともしたのだ。

    その人物こそ、彼女の兄―ジョナサン。

    これは、新たな神話と、そのはじまりを記した物語である―。
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