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    『ブラックメイデンアフターロマンスⅡ 蛮行の剣(つるぎ)』

    「軍師、軍師ねえ…あんたのような男も恋をするとは。
     聞いた話では、今や荒れ果てた灰の国出身というじゃないか。
     なるほど、その薄汚い青の瞳、
     いやに不吉だと思えばそういうことか」

    舐めきった口調で更に続けようとする男を、
    おれは無言で相対する。

    「王をわが物とした感覚はどうだ?
     あの上玉を毎晩穢しているんだろう?
     くくっ、羨ましいなあ…。
     あんたみたいな蛮族があの女を愛するなんて、
     神なんて腐ったものだ。
     蛮族、蛮行…ひゃひゃっ…だからこの世はおもしろい…!」
     
    「蛮行がなんだ。
     おれはもとより一人しか愛する気はない。
     一生に一度しか、おれはこの命を捧げん。
     たとえ神に否定されようと、おれはそうするだろう」






     

    言って、目の前の男を見据える。
    ひきつった薄い唇、ひしゃげたような目。
    メイサを下らん妄想で穢す、
    こんな奴が、この誉れ高き騎士団に紛れこんでいたとは。

    「それとも、お前がおれを殺すか?
     そうしてみろ。おれも本気で剣を抜く。
     言っておくが、おれは一度も負けたことはない。
     そして容赦もしない。

     おれがお前の首をはねるか、お前がおれの首をはねるか。
     ―なかなかの見ものだな?」

    そういって、おれはすらりと剣を抜いた。

    幾分か傷ついた、しかし磨きこまれた白銀に、
    奴の、眉をつり上げながらも震える姿をうつすと、
    おれは満足そうに微笑んだ。

    「じょ、冗談だろう…?」

    「勿論(もちろん)冗談だ。
     ―しかしお前がおれを侮辱するなら、その限りではないな?」

    「うっ…うワァァアァぁ!!」

    慌ててて逃げさる奴の姿を目におさめると、
    おれは冷めた目で剣をおさめた。

    「…口ほどにもない。この国もとうとう腐ったか」

    血湧き肉踊る戦の日々が懐かしい。

    だが、ふいに浮かんだのは、奴の鮮血ほとばしる姿ではなく、
    メイサの笑顔だった。

    はじめて迎えた朝の、あの蜜のような笑顔。

    嬉しくて嬉しくてたまらない、
    だがそれを口にするのは恥ずかしいのか、
    急にもじもじとし、前髪を引っ張る仕草(しぐさ)。

    すべてが愛おしい。

    お前は、お前のままでいろ…。

    露払いぐらいいくらでもしてやる。

    おれはお前の番犬。
    そして、蛮行なる死神だ。

    一振りの剣となろう。

    放蕩なる輩に、お前を穢さぬために。

    きっとお前はこういうだろう。

    「―必要ない。わたしにはわたしの剣がある。

    あなたはわたしの背後さえ守ってくれればいいのだ―」

    しかし、優しいお前は、一人を斬るごとに一つ傷つくだろう。

    ならば―おれはお前の代わりにいくらでも血にまみれよう。

    メイサ。
    おれのヴァルキューレ。

    鮮血のなかで咲き誇る穢れなき花。

    願わくば、いつまでも、お前と共に…。







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