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    15

    『青空レンズep.1 -世界の色-1-透明、虹色、止まる世界-』

    ―世界は、すごく透明な色をしている、と思った。




    「おい」

    「んー?」

    「そこからなにかみえるのか」

    見える、じゃなく、視えるの意味で彼が言う。

    「いやあ。空にさかなが泳いでたらいいのになーって」

    冗談混じりで、はにかむ。
    川縁のこの場所は、
    雲一つない青空日曜日にはぴったりな場所だ。

    ここに座って、このクールすぎて仏頂面気味なイケメンくんこと、
    わが弟の翠空(すいく)とたわいもない話をするのがわたし…
    -二葉青海(ふたば・あおみ)の日課だ。

    「暑くてとうとう頭がわいたか?」

    わたしより少し切れ長の目を細め、バカにするように、
    というより半ばあきれながら心配そうにする翠空。

    「―ああ。だがしかし、そんな小説があったな。
     …よし、そろそろ帰るぞ」
    時計をみながら、ぞんざいにフォローして、翠空は手を伸ばす。

    「えー」

    襟元をぱたぱたして面倒くさそうにすると、
    翠空の声が低くなる。

    「またコンビニ弁当を食いたいか?
     さっさと夕飯の材料を買って作るぞ」


    「仕方ないなあ」
    んーっ、とのびをして、その少し大きい手を取る。

    「あっ、でもアイスも買おうよ。おわびにおごってあげるから!」

    「おまえの買うアイスはまずい」

    「えっ、ひどい!じゃあ翠空が選んでいいから!!」

    翠空の背中を追いかける。
    ぴりりりり…という音が鳴って、ぴたっとその背が止まる。
    翠空が振り向く。
    眉がよっている。
    目が見開かれ、口が大きく、なにか叫ぶような形になる。


    あっ、転んだ。
    と思った瞬間、目の前にトラックが突っ込んで来た。




    「…!」

    「…あ」


         『青海…!』


    瞬間、世界が止まる。
    ざぶん、と海に沈み込むような浮遊感。
    耳鳴りがする。だけど、ひどく静かだ。
    視界が歪む。他人ごとのように思いながら、手を伸ばす―。


    ―7秒後、わたしは河川敷を転がっていて、翠空に抱えられていた。

    「…ちっ…また7秒か…。」

    腕時計をみながら悔しそうな顔をする翠空。

    スポーツウォッチも兼ねているそれが指すのは、PM4:44。

    だんだん意識が薄れる気配がして、あせった。

    (ダメだよ、行かないで、翠空…)

    そうだ。
    いつもこの瞬間、わたしはそう思いながら手を伸ばすんだ。

    きっと、わたし達双子は、
    いつか離れ離れになってしまう、そんな予感がして。




    “今日の世界の色。
     ひどく透明な空、虹色のさかなが飛んでいた、気がした。
     …たぶん、気のせいだと思うけど。”


    これは、そんな近未来のお話。







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