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    02

    『リシアンの契約~アウト・ヒストリア~-code.0“その名を識れと彼らが囁く” ‐』



    ( リシアン  )


    ( ( リシアン ) )



    “ぼく”を呼ぶ声だ、とぼくは思う。

    静かに反響する声。
    ああ、ここは海だ、とおぼろげに思う。

    ぼくの口からこぽこぽと泡がもれる。

    苦しくはない。
    むしろ、心地よい。
    その深海は、羊水のようで、その水底はぼくを抱く腕(かいな)だ。

    柔らかで静かな気配が、やがて近くに降り立った。


    『リシアンサス』




    彼女は微笑った。
    ぼくは、ようやく目を開ける。

    見なくても、視ていた。

    身なくても、魅ていた。

    “きみ、は。”

    とぼくは言う。
    声はなく、泡のみが目の前を飾った。

    『我は、×××じゃ』

    と彼女は言った。

    彼女の顔は、泡に隠れている。

    その身体は、幻のようにたゆたっている。

    泡が消える。

    ぼくは視る。
    いや、魅る。

    彼女は美しかった。
    でも、その姿はなぜか、塗りつぶされたように見えない。

    見ることも、観ることも。
    有ることも、在ることもできない。

    これは、そういう罰なのだと、第6番目の扉は囁いた。

    これは、ぼくの罪なの?とぼくは尋(たず)ねた。

    いいや、違う、と彼女は言った。

    『これは、我の罰なのだよ』

    “あなたの、つみ?”

    とぼくは問う。

    “罪ではないよ。罰なのだ”

    と彼女は軽やかに言った。

    彼女の姿は、まだみえない。

    でも、その姿はどこか懐かしかった。

    ぼくは、彼女(そ)の名を、まだ識(し)らない。





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