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    『ミッドナイト・ロストサマー』 第二章<施設>編 -第1話 “DDSB” ~ドーン・ダークネス・スカイブルー~-

    クソックソッ――クソッ。

    ライターをカチカチと鳴らす

    火がつかない。
    火が。
    クソッタレ。

    なんで、俺の女はいなくなった。

    クソッ。

    こうなったら、死んでやる。

    「やめなさい」








    ――千景(ちかげ)。

    「そんなことしても、何にもならないわ」

    なんだと……?
    俺は、お前が、お前がいなくなったから。
    職もないし、酒もまずいし、千夜も俺を捨てやがった。

    お前が、お前が、お前のせいだ。

    「辰壬(たつみ)。あなたは、何もわかっていない」

    ふざけるな。
    よし、そこにいろ。 殺してやる。
    突き落としてやる。
    お前を……!



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



    ピーポーピーポー、
    救急車の音が窓から聞こえた。

    あたしは、シャーペンで見取り図を書く。

    施設。

    そこは、未知の領域だ。けれど、噂がないわけじゃない。
    インターネットの掲示板では、
    頻繁(ひんぱん)に取りざたされている。

    いわく、人体実験は、毎月4のつく日。
    いきすぎた不良はそこで脳をいじられ、公正させられる。

    いわく、口は林に繋がっていて、
    公正に失敗した死体はそこに埋められる。

    さすがのあたしも、その噂を信じているわけじゃない。
    はっきりいって、尾ひれのついた都市伝説だと思う。

    だけど、火のないところに煙はたたない。

    そこには、わずかでも、真実への糸口がある。

    あたしは、ネット上から拾った情報を、ルーズリーフにまとめ、
    それをまず、正しそうか正しそうでないか――
    つまり、まるでデマカセか、
    その裏に、なにか情報が隠れているか――のふるいにかけ、
    その全体像を、少しずつあぶり出していった。

    いや、わかった気になっているだけかもしれない。
    一介の中学生であるあたしに、なにがわかるかというと、
    せいぜい落とし穴にはまらないよう慎重になることぐらいだ。

    だけど、自分で言うのもなんだけど、
    あたしはたとえ、義務教育中のガキでしかなくとも、
    そんじょそこらの高校生より、マシな自信がある。

    自分のバカさ加減も知っているし、その上でどう振舞うかも、
    自分になにができてなにができないか……、
    それぐらいはわきまえている。

    少なくとも、上の下。それぐらいの矜持(きょうじ)はある。
    そこまでつらつらと考えながら、
    昨夜、パソコンで調べてプリントアウトした、
    掲示板の内容のなかでも、
    最も多く話題に上った話題に、赤マルをつける。

    いわく、
    「施設では、なんでも、警察でもすら扱いに困った不良の他に、
     なんらかの特殊な能力を持った少年少女を、
     秘密裏に養育・管理している」

    他の眉唾(まゆつば)の話題だと、
    一時的には話題になっても、すぐに廃(すた)れる。
    だけどこの話題だけは、定期的に、必ず現れる。

    まるで、どこかの誰かのメッセージのようだった。

    あたしは、そいつのIDをチェックした。
    だいたい一致している。
    おそらく同一人物で間違いない。

    そしてそいつは、こうも言っていた。

    「9月9日、赤羽(あかばね)町にて、集会が行われる」

    集会。なんの集会かは記されていない。
    鮫島(さめじま)に聞いてみた。
    どうやら暴走族関係ではないらしい。

    ――だったら、なんの?

    あたしは、掲示板でつぶやいた。

    「赤羽町の集会、あたしも参加する」

    鼓動(こどう)が跳ねる。
    もし、これを書いたのが、施設の関係者なら。
    あたしは、自ら罠にかかりにいったようなものだ。

    手に汗を感じつつ、ケータイを握り締めると、
    すぐに、それらしい返事がきた。

    「――0時に、赤羽町の4番地で」

    ――これだ。
    ――これしかない。

    あたしは、危ない橋を渡ろうとしていた。
    命を奪われても不思議じゃない、危険な賭け。

    でも、やっぱりあたしは、いくら自覚したところで、
    慎重になったところで、わきまえたところで……。

    ただの、中坊、七織千夜でしかなく――。

    自分の大事なダチが今この瞬間、
    もし危険な目にあっているのだとしたら、
    とても平然としてはいられない、

    それどころかためらいもなく、自分の命さえ賭けようとする、
    それぐらいにバカで、大馬鹿で、――無謀なヤツなのだった。

    これでもうアイツのことは言えないな、
    とあたしは苦笑し、ケータイを閉じた。


    必要な情報はおおむね揃(そろ)った。


    今日は9月6日。

    ――9月9日まであと三日。






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    comment

    のいかの
    勢いで突っ込んでくタイプかと思いきや
    千夜は真面目な分析タイプだったのね。
    2015.04.19 23:04
    ❁♥REO♥❁
    うわー!かの!! コメントありがとう!〃人〃♥
    そうそう! 不良少女の割に、
    意外と常識人で、ツッコミタイプなの!

    でも、カッとなると止まらない、
    猪突猛進なところもあるんです!

    これからどんどん施設の謎に迫ったり、

    メガネ&クール美形や、ワイルド&純情イケメン、
    甘いマスクの童顔の医者、天使な顔の悪魔な美少年など、

    面白いキャラも登場してくるから、
    よかったらぜひぜひ、続きも読んでみてね!〃▽〃♥
    2015.04.20 00:07

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