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    06

    『拝啓(はいけい)、うちの亭主は関白(かんぱく)にすぎる』 ~ブラックメイデンアフターロマンス特別掲載<新婚編>~

    (はじめて質問をくださったニコラさんに捧げます!)


    「剣を扱う時は、ポニーテールにするだろう?
     だが、結構うっとおしいので、切ってしまおうと思うのだが」


    寝る前のひとときのことである。
    わたしは自室で一日の疲れに凝り固まった体をほぐし、
    軽くストレッチをしながら、セドウィグに話しかけた。

    「なぜ切る」





    新聞を読みながらセドウィグが言う。
    いつものように、眼鏡をかけている。
    案の定(あんのじょう)、男らしく、こちらをみたりはしない。

    「だから、うっとおしいのだ。メイド達には止められたが…。
     というか、“メイサさまの美しい御髪(おぐし)が!!”
     と一部乱心していたが」

    実は、<騎士乙女メイサさまファンクラブ>や、
    <メイサさまをお守りする会・メイド部>
    なる怪しげなコミュニティーが城内のあちこちに存在しているらしいという、
    あの噂は本当だったのか…いやきっとわたしの考えすぎだな…。

    「そうか」
    だが肝心のセドウィグは結構どうでもよさそうだ

    「…しかし、なぜ女は髪を切る」

    「なんだその、なぜ人はパンを食らうのかみたいな質問は…」

    呆(あき)れながら、こうこたえる。

    「お洒落(しゃれ)、だろうか…。
     やはり、馬子(まご)にも衣装髪かたちというからな…」

    「そういえば、お前も女だったな」

    他人ごとのようにページをめくりながら言うセドウィグ。

    「今更何を…。
     というか、なら今まであなたはわたしをなんだと思っていたのだ」

    ちょっと非難するように頬を膨らます。

    「そうだな」

    新聞をぱたりとたたみ、セドウィグがこちらを向く。

    「やっと話を真面目に聞いてくれ…」

    なんだ?!いきなり頭をひっつかまれ、視界が反転する。

    「おれの宝、かな」

    そういって片眉を吊り上げ、満足そうに笑まれる

    「な、なんだそれは…?」

    「違った、おれの所有物だ」

    言い直すようにいわれて、思わずしょんぼりする。

    「なんかランクが著(いちじる)しく下がったが…」

    しょんぼりどころか脱力する。ちょっぴり涙目だ。

    (わたしはモノなのか…)


    「まあ、しかし、髪まではおれの言うことではないな」

    そう言ってわたしの頭を膝に下ろし、おもむろになではじめる。

    「まあ、個人の自由だし、好きにすればいいんじゃないか?」

    更に、髪を長い指で梳(す)き始めた。

    その手つきはすこぶる優しいが…。

    (真逆すぎるぞ! どれだけ面倒くさいんだあなたは…!)

    そう言いたいのはやまやまだが、どうせ、
    『面倒くさい女ナンバーワンのお前に言われたくはないな…?』

    とか面倒くさいツン嫌み
    (ツン・いやみ…照れ隠しに世の<つんでれ男>が言うあれだ…!!)
    が返ってくるに違いないのだ!!

    「むむ…! 切らなければいいんだろう切らなければ!!」

    ヤケになって立ち上がろうとすると、がっちり頭を掴まれた。
    「いつ動けと言った…?」

    ただでさえ鋭すぎる眼光が細められる

    (も…もう耐えられん…!!)

    「この…亭主関白俺様男がーーっ!!」

    その後一週間、セドウィグとは口を聞かなかったのは言うまでもない。




    結論:セドウィグは面倒くさい。

    甘やかすとつけあがるので、用法容量を守って、正しく反抗しよう。

    そんな風に決意した、新婚3カ月めなのだった…。



                            (了)
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