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    07

    『夏芽楽団交響曲』 ~奇想曲<カプリチオ> “瑠璃猫のワルツ”~

    「吾輩(わがはい)はねこである!!」

    唯音の部屋のすみから、ぴょん、とこっちに飛び跳ねてきた毛玉。

    それは、瑠璃色の体をした、どこからどうみても、猫だった。

    「…夏目漱石?!」
    「―夏芽だけににゃ」


    金色の目を光らせ、にやり、と笑う猫。

    「気持ち悪っ…!…じゃなくて」
    なんでにゃんこがしゃべってるんだろう。

    ひょっとして、暑さによる幻聴…?!
    (※ここは空調の効いた室内です)

    思わずファイティングポーズを取るわたし。

    「何と戦っているんだ?」

    ティーカップを持ってきた唯音が、笑いながら言う。

    「…いや、このにゃんこが」

    しゃべってるように聞こえたから、ちょっと身を守るか、
    自分の幻聴と戦うかしようと思ったんだ!

    (…なんて、言えないよね!!)

    おかしすぎる…。

    毛玉に埋まるようにして恥ずかしさをごまかしていると、
    けだ…いやにゃんこが暴れだす。

    「むぐっ。こら! 気安く触らないで欲しいのである!
     吾輩の美しい毛並みが汚れるではないか!」

    「…ふふ、夏芽、懐かれたみたいだな」
    紅茶を飲みつつ、椅子(いす)に座って、まったりなごむ唯音。

    「どこが?! というか、めっちゃ嫌がってるっぽいよ?」

    暴れまくるにゃんこに引っかかれるのは嫌だったから、
    大人しく離すと、彼(?)はぴょこん、と地面に降り立った。

    「なんじも吾輩の魅力には抗えないようであるな」

    得意げにぴょこんとひげを立て、
    ごろごろと喉を鳴らすにゃんこはご機嫌さんだ。
    さっきから思っていたけど、
    口調の古めかしさとは真逆で、声と仕草は驚くほど可愛らしい。
    さえずるような声はなんというか、ずいぶん可憐な感じだ。

    なんか、唯音に似てるなー……じゃなくて…!!

    「唯音!なんでこのにゃんこしゃべってるの?!」

    「…夏芽?」
    いぶかしそうな顔をした唯音は、わたしの額に手をあてた。

    「熱でもあるのか?」
    えーっ……(不満)
    人には気安く触るな君には恥じらいがどうのっていうくせに、
    自分が触るのはありなんだ?
    ジト目で唯音をにらむと、瑠璃にゃんこがくくっと笑う。

    「熱などあるわけにゃいであろう?
     まったくご主人はおバカさんであるにゃ!」

    ……え―っ…(ドン引き)
    じゃあ、ほんとのほんとに、
    わたしにしか聞こえていないんだ…!

    「夏芽?」
    こてっと可愛らしく首を傾げる唯音をよそに、
    わたしは、にゃんこの耳に向かってひそひそ話をする。

    「吾輩ちゃん! 君ってもしかして、UMA(ゆーま)?
     それとも、メンインザブラック的なミュータント?」

    「―くすぐったいのである! 
     にゃんども言うが、吾輩は猫である!
     ただし、ヴィオロンという正式なる名前があるので、
     ご用の際はちゃんと呼ぶで候(そうろう)!」

    「言葉使い似せてるっぽいけど全然似てないよ!
     名前がないはすが名乗っちゃってるし、
     候とかもはや武士語だよ!」

    「…きーん。うるさい小娘である! 
     ちょっとは黙るがよろしいある!」

    「日本猫ですらなくなったよ!」

    にゃんこはボーンインチャイナですか!

    「そうとも。我は日本猫ではない。英国紳士なのである」

    「オスだったんだ…」
    というか、吾輩呼びは? どこから突っ込めばいいんだろう。

    「夏芽、さっきからどうしたんだ? ちょっとおかしいぞ」

    心配そうに唯音が言うので、わたしは慌てて手をぱたぱたした。

    「いや、可愛いにゃんこだなーって。
     おお!毛並みがすごいね!! 血統書つきかなあ!!!」

    「いや、ぼくもよくは知らないんだ。
     マルシェ…ああ、従兄弟だが、彼が拾ってきたらしい」

    「ノラかあ。どっかのセレブの脱走猫だったりして」

    「にゃふん。その通り。
     しかしその正体を明かすのはやぶさかではないな。
     そもそも我はご主人のヴァイオリンに宿った精霊。
     この体はただそれを具現化しただけのもの…、
     あっやめろ、そこを触るでない!」

    ふよふよしてるしっぽを撫でたら、にゃうん!!と抗議された。
    「フ―ッ、フーッ!」
    しっぽをピンと立て今度は威嚇(いかく)しだす吾輩ちゃん。

    「こらヴィオロン、やめないか。夏芽がこわがっているぞ」
    唯音が怒ってびょいんびょいんしている、
    吾輩ちゃんのひげを指で弾いた。

    「にゃむん!! なぜ我が怒られるのだ! 
     我輩よりこのむすめのほうが大事なのか!
     こんな…ただなつっこいだけが取り柄のメスに…、
     我が負けるなどと…!」

    「よしよしヴィオロン。またたびだ。機嫌を直してくれ」

    「イヤである! 
     このメスは吾輩の敵だ! そうに違いないのだ!!」

    二本の足で立ってみゃみゃーわめきながら、
    またたびを弾き飛ばし、
    ぴょこんぴょこん交互に空中をひっかく吾輩ちゃん…。
    じゃなくてヴィオロンのおててを、
    唯音はそっと自分の手のひらにぽふんした。

    「夏芽はただきみと仲良くなりたいだけなんだ。
     モン・プティ(可愛いひと)。
     きみも仲良くしてくれると、とても嬉しい」

    「むにゃーん!!」

    唯音の手をぱたぱた叩いたヴィオロンは、やがて叩き方を、
    ややぽふぽふ感あるデクレッシェンド(だんだん弱く)に変えると、

    みゃおーん!!と大声で悲しげに泣いて、ばっときびすを返すと、
    しゅたたたーと音が出るくらい、
    プレスティシモ(極めて速く)に走り去った。

    「―ずるい!!ご主人のきちくーーー!!!」


    (なんでさっきから、
     無理やり音楽用語ばっかり使っているかというと!!
     ―ようするにテスト前なのです!!(泣))

    「我輩ちゃん…」
    なんだか悪いことをしちゃったな…。
    そう思いながらヴィオロンの去った窓をぼんやりみつめていると、

    「ヴィオロンは、嬉しそうに去っていったな」
    と口元に手を当て、くすりと微笑(わら)う唯音。

    「え…?!(泣いてたけど…?!)」と目を白黒させていると、

    「彼は、モンプチが好きなんだ。
     そのせいか、ああ呼ぶと照れて去ってしまう」と唯音。

    「いや…うん…」
    モンプチ(ペットフード)は関係ないよね…と、
    わたしは色男すぎる唯音の将来をそっと憂(うれ)いた。

    唯音がモテモテになったらどうしよう…。
    フランスの血が騒いでハーレムを作ったら…なにそれ嫌だ!!
    わたしは、うわっとなって唯音の手を取った。

    「唯音…一生育たないでね…!!」

    「?!(なぜ?!)」

    こうして、わたしは唯音の新たな一面と、
    愉快な家族のことを知ったのでした。

    (続かないよ!)









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    comment

    Nicola
    お久しぶりです!
    恋情編Ⅲとこちらのカプリチオ読了です(*´∀`)

    恋情編の烈火のかっこよさは相変わらずでした。
    そしてエマちゃんのなんと可愛らしいこと…!
    素敵な二人ですね!
    烈火が「お前が必要だ」って言うのがピタリとくる感じでした!

    そしてカプリチオ!
    こ、このにゃんこはもしや…とか思いつつ、そういうことを聞くために質問コーナーがあるのか!と思って( ゚д゚)!!みたいな顔になりました笑

    夏芽と唯音のカップルもみてて何とも和やかでいいですね(*´∀`)ほのぼの組…!
    唯音のちょっと素っ頓狂な感じが可愛らしくて、ちょっと隠れて観察したくなります。

    にゃんこの騒がしさ具合もほどよくてあれですね、マスコットですね!!笑
    また質問まとめてこねば…と思いました…笑

    2014.03.11 21:42
    ❁♥REO♥❁
    おお!お久しぶりです!(*´▽`*)**

    エマが、唯一ただの少女になれる相手、烈火。
    烈火を、唯一無二の烈火へと変えてくれるエマ。
    お互いをパートナーとして支えあってゆけるふたりの関係は、
    これからも末永く続き、あらたな命を紡いでゆくでしょう。


    唯音夏芽カップルのその後は、某ボツ作品設定にも繋がっていて、波乱もあるのですが…。
    そのあたりのお話はどうするかと迷いつつ!


    もしや…そう、それです!!(なんだ)
    リシアンを読んだ人ににやっとしていただけるようなぷち仕様です!

    質問はのんびり受け付けているので、コメントなどからお気軽にお申し付けください!

    久々の感想をいただいてなにやら嬉しさゲージが振り切れてしまいました〃艸〃

    瑠璃猫のワルツも熱情編も完成に一年ほどかかるという超ロングスパンな作品で、
    やっとカタチになって、感慨もひとしおです!

    今ある作品に取り掛かっていて、ブログのほうはなかなか手がまわらない状態ですが、
    時間をみてちょこちょこ更新できたらと思います!

    嬉しい感想ありがとうございました!これからもちまちま頑張ります!!
    2014.03.12 15:07

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